損傷の激しいiPhone7 Plusのデータ復元しデータの取り出し事例

損傷の激しいiPhone7 Plusのデータ復元しデータの取り出し事例

  • 2021.07.12
  • 2021.08.02

本日は東京都台東区の三ノ輪のYE様からアメモバ へiPhone7 Plusのデータ復旧「復元」の依頼がありました。持ち込まれた状態は下記の画像の通りです。

修理の工程はビデオでも纏めております。ぜひご覧下さい。

 

iPhone7 Plus データ復旧

液晶ガラス完全に割れました。

液晶は完全に割れてしまい、当然着かないです。

アウトカメラガラスも割れ

アウトカメラガラスも割れてしまっている状態です。

本体内部の損傷もひどく

本体の内部見てみると、かなり損傷がひどく、ネジや配線固定用のカバーも取れてしまい、液晶パネルの配線やセンサーモジュールの配線も切れてしまっています。勿論、指紋認証のTouchIDの配線も切れてしまいました。ただ、お客様のご要望では本体そのものは直らなくても問題なく、データだけ取り出しできればとのことです。

では早速データ復旧「復元」作業に入っていきます。

まず基盤を取り出す

ロジックボートのネジを取り外す

iPhone7 Plus ロジックボート

損傷が酷い状態ではありますが、流石にiPhoneです。ロジックボート固定用のネジはそのまま残っていました。そのため、ロジックボートにも変形が見られません。ロジックボート固定用のネジを取り外し、取り出します。

基盤の状態を確認

ロジックボートに断裂が見られます。

一般的には激しい衝撃を受けた場合にロジックボートにも何らかの影響があると考えたほうがいいです。今回の場合はロジックボート折れていませんが、上部の部分にやっぱり断裂が見られます。

吸熱シート

吸熱シートは破れはみられませんが、ただし、デコボコになっています。経験上この吸熱シートの状態からの推測ですが、基盤もあまりいい状態とは考えにくいですね。

ショートの原因を特定

電源コントロールチップ

吸熱シートを剥がし、電源コントロールチップは少なくとも肉眼では見られるような破損がないようです。

下部の損傷したコンデンサーやチップ

破裂したチップ

下部の部分の吸熱シートを剥がし、内部を見てみると、とても悲惨な状態でした。少なくとも肉眼でも複数個のコンデンサーやチップが破裂しています。

電流計

通電し、動作確認します。電源を投入すると電流計の針が振り切ってしまいました。この場合は通常ショートが考えられます。

発熱のコンデンサー

一般的にコンデンサーが破裂してしまった場合に基盤の電流がショートしてしまいます。ショートしてしまった場合に発熱の症状が見られます。この場合はサーモグラフィーカメラで症状をすぐに特定できます。写真のように、発熱の多くは破裂したチップの部分に集中しています。

破損したチップやコンデンサーを取り除く

破裂したコンデンサーを取り除く

フラックスを塗り、ヒートガンで加熱し、破裂したコンデンサーやチップを取り除きます。

ハンダ吸い取り線で綺麗に処理

ハンダ吸い取り線を利用し、ハンダパッドを綺麗に処理して行きます。

電流計

破裂したコンデンサーやチップを取り除き、再度通電し、動作を確認します。電流計を見ればわかる通り、依然として症状が改善されません。

オーディオチップの発熱

再度サーモグラフィーカメラで確認し、オーディオチップの部分が赤くなっています。オーディオチップの部分も破損してしまったとわかります。オーディオチップも取り除いたのですが、やっぱりショートの症状が改善されません。

フラックスで症状を特定

一般的にショートの症状がサーモグラフィーカメラで症状特定できなければ、フラックスを利用し、症状を特定します。

電流計

発熱のコンデンサーを取り除いてから、再度通電し、動作確認を行います。ショートの症状が改善されましたが、今度小電流の症状がみられてしまいました。ショートの症状は光熱が伴いますので、サーモグラフィーカメラで症状を特定するのは簡単です。ただし、小電流になると症状を特定するのに技術や経験がなければとても難しいです。経験上では電流計の針が振り切って、すぐに戻ることから、ハードディスクの部分が動作していない症状だと思われます。

ハードディスク電源供給を調査

故障したコンデンサー

ハードディスクの電源供給関連のコンデンサーを調査して行きます。最終的にハードディスクに電源を供給する1.8Vのコンデンサーがショートしてしまっていることが分かりました。

ショートしたコンデンサーを取り除く

コンデンサーのゴムを剥がし、ショートしたコンデンサーを取り除きます。

無事に復旧したiPhone7 Plus

ショートしたコンデンサーを取り除き、再度通電し動作確認します。無事にリンゴマークが出ました!今度パソコンに繋げて、パソコンとの通信も無事に確認でき、これで今回のデータ復旧「復元」作業が無事に終わりデータの取り出しに成功しました!

アメモバロゴ

技術まとめ

iPhoneは精密機械であり、いつ故障してもおかしくありません。液晶パネル、基盤、アウトカメラいずれも損害が激しく、当然本体の修理に価値がありません。本体そのものはお金で計れるものですが、中に入っているデータはとてもお金で計れるものではありません。基盤を起動できる状態まで復旧し、データをバックアップできるのは今回の作業の最大の価値だと思います。重要なデータが無くさないように日々よりこまめにデータのバックアップを取ったほうがいいでしょう。

iPhone7 Plusのデーター復旧「復元」、取り出し費用や所要時間

写真でもわかる通りですが、損傷が激しく、症状を特定するのに結構時間が掛かりました。一般的にこのような損傷が激しい端末からのデータ復旧「復元」し、データの取り出しは3日から一週間前後見たほうがいいでしょう。修理費用は故障の状態や作業に必要な時間や機種によって変わってきますので、各店舗の情報や修理料金はこちらのリンクよりご確認下さい。